音楽と演奏について 初めの第一歩
合奏練習初日

曲目が決まり、楽譜が配られ、奏者は 時間の許す限り 事前に楽譜を読み込み、さらう。

調性、拍子、望まれるテンポは。(メトロノーム指示があるか、妥当か?、速度を示す記号の有無、意味の解釈)

作曲者(編曲者)は誰か。自分が知っている曲か、初めて聞く(初めて弾く)曲か。

自分(達)が演奏する上で難しい要素は何か、難しい箇所はどこか。どう難しいのか。(楽器の最高・最低音域、音域外、不慣れな音階や旋法、取りにくい跳躍音程、休みが少な過ぎる、多過ぎる休みの次の出のタイミング、等々)。

主役(主旋律)になるところ、脇役(伴奏)になるところはどこか、役割がはっきりしているのか、単純に割り切れないのか。pp〜ffなど作曲家は総譜にダイナミクスを書き込んでいるが、時代背景等に、概して大まかな場合が多い。主旋律にpとか伴奏にfと書いてあっても、どのように表現するかは奏者の力量(経験、音楽的なセンス)に拠かかってくる。

良い演奏とは何か。奏者は楽譜から情報を読み取り、この曲は、この部分は、“こう演奏すべきだろう”という判断を下す。

レベルの高い奏者ほど、パート譜からあるルールを読み取る。また、ルールを読み取るために、総譜を読む。総譜を読むことによって、自分のパートが、自分が、どのようなプレーを要求されているのかが、一層はっきりする。音の強さ、音色、同一パートメンバー、同一セクションメンバー、他のパートやセクションメンバーとの あいだ での、協力、協調、(音楽的な意味での)対立・反行、等々。

これらを限られた時間の中で読み取り、反復練習などで技術的にもある程度克服して、奏者は合奏練習に臨む。合奏だから、複数の奏者が集まる。

楽団といっても、プロ、アマ、学校のクラブ、社会人のクラブなどによって、入団時の技術的な試験やオーディション有無などによってさまざまである。

ウォーミングアップ等を経て、指揮者の登場。指揮者はおそらく最初は、通し合奏を試みる。そして、音楽が始まる。指揮者は、この状況で、何をしなければならないか。

一つ言えることは、自分がスコアを読み、振り方を決定するなどして準備をしてくることと同時に、一人一人の奏者の中でも合奏練習が始まるまでには準備が必要ということ。準備が無ければ、たとえお試し的な通し練習であっても、演奏をすることはできない。演奏経験に乏しい学生のクラブ活動とかなら、何も指示・指導が無ければ 棒吹き にもなるだろうが、経験豊かな奏者にとって、意味のない棒吹きはもはや 演奏 
ではないだろう。

(まだ指揮者からの指示が無い段階でも)奏者は良い演奏をしたいと強く願っていることを忘れてはいけない。良い演奏とは何か、どうすれば良いかを考え、準備し、その結論が演奏に表れているはず。そこのを指揮者がどう考えているか、どのくらい知っているかということもまた、大切ではなかろうか。

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(参考・齋藤孝訳 孫子の兵法 より)

 彼れを知りて己(おの)れを知れば、百戦して殆(あや)うからず。

 彼れを知らずして己れを知れば、一勝一負す。

 彼れを知らず己れを知らざれば、戦う毎(ごと)に必ず殆うし。
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