◎ことば 中村紘子 エブリン・グレニー


ピアニストの中村紘子氏がテレビに出ていて、少しお話を聞いていた。


戦後間も無い日本で、当時最高レベルの音楽教育を受けてジュリアード

音楽院に留学された時、本場の西洋音楽に大変なカルチャーショックを

受けられたという。

幼少のころから、ピアノというのは一日に何時間も何時間もひたすら練習

に励むして身に付けるものだと思っていたのが、アメリカの先生に


『自分はこのように感じたんだ、こうやってやりたいんだ、というのが音楽の

本当の基本である』


と、教えられたのだという。


また、第一線で活躍するピアニストであり続けるための努力について、

こんな風におっしゃっていた。


『演奏というのは、練習を重ねて極限まで技術を磨くのだけど、それだけ

ならば誰が弾いても同じで意味が無い。そこに自分なりに音楽から読み

取ったメッセージを表現していくのだけれども、そうすると今度は足下の

技術が危うくなってくる。その技術と表現のぎりぎりの所で自分をコント

ロールするためには、常に自分を鍛え続けなければならない。』


色々と通じる話ではないだろうか?。


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少し前になるが、NHK-ETVで打楽器奏者が出ているのを見つけた。後から

それが、聴覚障害の打楽器奏者でグラミー賞を二度受賞されている、イギリス

人のエブリン・グレニーさんであることがわかった。


耳の聞こえない演奏家であるわけだが、五感を拓き研ぎ澄ますことにより、

振動で音程がわかるようになるのだという。音楽を演奏する者ならば、一度

はこの方のお話を聞いてみると、きっと良い刺激になると思う。

著書も出ているようだ。


番組の最後に、彼女の語ったある言葉が、私の心を捉えた。


・・・いつまでも子供のような気持ちを持ち続けることは難しいが、それを

持ち続けなければ発見の旅は、終わってしまいます・・・ 

[09/04/12]




・・・音楽は、そして人生は、「発見の旅」なのだ。