ピアニストの中村紘子氏がテレビに出ていて、少しお話を聞いていた。
戦後間も無い日本で、当時最高レベルの音楽教育を受けてジュリアード
音楽院に留学された時、本場の西洋音楽に大変なカルチャーショックを
受けられたという。
幼少のころから、ピアノというのは一日に何時間も何時間もひたすら練習
に励むして身に付けるものだと思っていたのが、アメリカの先生に
『自分はこのように感じたんだ、こうやってやりたいんだ、というのが音楽の
本当の基本である』
と、教えられたのだという。
また、第一線で活躍するピアニストであり続けるための努力について、
こんな風におっしゃっていた。
『演奏というのは、練習を重ねて極限まで技術を磨くのだけど、それだけ
ならば誰が弾いても同じで意味が無い。そこに自分なりに音楽から読み
取ったメッセージを表現していくのだけれども、そうすると今度は足下の
技術が危うくなってくる。その技術と表現の
ぎりぎりの所で自分をコント
ロールするためには、常に自分を鍛え続けなければならない。』
色々と通じる話ではないだろうか?。
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少し前になるが、NHK-ETVで打楽器奏者が出ているのを見つけた。後から
それが、聴覚障害の打楽器奏者でグラミー賞を二度受賞されている、イギリス
人のエブリン・グレニーさんであることがわかった。
耳の聞こえない演奏家であるわけだが、五感を拓き研ぎ澄ますことにより、
振動で音程がわかるようになるのだという。音楽を演奏する者ならば、一度
はこの方のお話を聞いてみると、きっと良い刺激になると思う。
著書も出ているようだ。
番組の最後に、彼女の語ったある言葉が、私の心を捉えた。
・・・いつまでも子供のような気持ちを持ち続けることは難しいが、それを
持ち続けなければ発見の旅は、終わってしまいます・・・