◎外で着替えてる人は初めて見ました◎
京都の高校吹奏楽コンクールであった悪夢。
しかし、あまり珍しいことではないのかもしれない。
私は警告していた。今年の生徒たちの様子を見ていると、本番当日に時間が守れてスムーズに
ステージに乗るまで流れるのか、忘れ物をしてあたふたしないか心配だった。本番というのは、
余裕が最も大切だ。スケジュールの狂いや不足物の類は後からいろいろと出てくるものだから、
楽器運搬・忘れ物チェック・メンバーの点呼など万全にして怠り無く行い、リハ室入りから本番
ステージまでは、ちょっと時間が余るかなぐらいの余裕が欲しい。ウォーミングアップだって
チューニングだって、何でも落ち着いて判断してできて初めて万全のものが行える。
しかしこの日の指導校はひやひやすることが多かった。2・3年生が7名、1年生と新たに今年
から入部してくれた中学生が合わせて16名。合計23名乗る予定が、コンクール前日と当日の
合奏をすっぽかして、ステージに乗ることに誰にも賛成してもらえなかった生徒を抜いて22名。
やれミュートを忘れたと思ったら別にかばんに入っていただの、やれ一人がバスに乗り遅れて
勝手な判断で電車で来ただの。。。
リハ室入りの50分ほど前、箱で買ってきたアイスキャンデーを分けて顧問の先生と二人で
食いながら、やれやれなんとかここまでたどり着きましたねぇとか、いやいやまだまだ何か
起こるはずや油断はでけん、とか話していたら・・・生徒が2人走ってきてこうのたまった。
生徒「すいません、ティンパニのマレット忘れました。。。」
わし「・・・」 顧問「・・・」 生徒「・・・」
わし「手で叩くつもりか・・・?。」 顧問「・・・」 生徒「・・・」
生徒「すいません・・・。」 顧問「・・・」
わし「わし、(イヤだけど)行きます・・・。」 顧問「すいません・・・。」
楽器運搬のトラックは学校の先生に運転してもらっているのだが(顧問は免許無し・汗)、
あまり無理を言うこともできない。車で来ているのは私だけ。マレットの場所がわかる3年
生を一人乗せ、学校に戻る。確かリハ室入りまで45分ほど。学校までは道路状況により
異なるが、空いていれば30分かからないはずだ。リハ中になんとか滑り込めるか・・・?。
車の中から助手席の生徒に何度も電話をさせ、顧問にスケジュールを確認したり、残って
いる生徒には総出で忘れ物チェックをさせるよう連絡する。学校にたどり着いて出てくる
までに忘れ物に気づけば、まだ間に合う。いちおう忘れ物は他には無いとの連絡が入った。
助手席の生徒は半泣きだが最上級生である。フォローのしようもない。
わし「本番終わってから、覚悟しとけ。」
生徒「すみません・・・。」
私はこの夏の間『熱冷まシート』を車に常備していて、隙があれば頭を冷やして運転して
いた。「2人ともカッカしているから、これでも貼ろうか・・・。」生徒と2人で熱冷まシートを
貼った変な車は、一路学校へ。幸いマレットはスムーズに見つかった。学校付近でバスを
待っている今年の卒業生を見つけて便乗させてやった。
これ幸いと喜んでいたが、生徒から事情を説明された卒業生も、一緒にうなだれた。
車が京都会館に戻る10分ほど前にリハ室入りしたようだ。生徒を下ろし、付近の駐車場に
車を入れに行き、ホールに戻って毎年利用しているトイレでタキシードに着替える。服装の
準備は入念にチェックしてきたので忘れ物はないはずだが、・・・ん?なんと、
足元がサンダルのままではないか!!!!
Σ( ̄▽ ̄;)
ししし、しまったぁ!。最近車に乗るとサンダルに履き替える癖があるのだが、
さっきも履き替えてそのままホールに来てしまった。ああだから、だから、
あわてるとロクなことが無い!!!!!
ヽ(゜▽、゜)ノ
というのだ。いくら考えてもこのままで指揮台には上がれない。外で待っていた顧問にカバン
を預けて駐車場へ行き、皮靴に履き替えて帰ってくる。広い地下駐車場だから往復で15分
くらいかかったろうか?。会館前まで戻ってきて、とりあえずズボンはトイレで履き替えていた
ので他は外で着替えて、第2ホール(チューニングルームその2)に駆け込む。入り口で
番をしていた吹連スタッフのおばちゃんに笑いながら、
「外で着替えてる人は初めて見ました!!」
と言われてしまった・・・。
|||||/(_▽_)\|||||
第2ホールのたった8分ほどのチューニングタイムの間に曲を半分ほど通し、どなり散らして
ステージへ。本番の演奏は割とうまくいった。結果は銀賞でほっとしたが・・・、あ、終了後の
反省会で、3年生を怒るのを忘れてしまった。見せしめで怒っておかないと、来年また同じ事が
起こると思っていたのにー。。。
[06/08/16]