◎ 音楽と「自由」の関係 ◎
高校から吹奏楽をはじめた私にとって、30歳を過ぎるまで「中学校の
吹奏楽」というものは全く未知の世界であった。今思い出してみれば、
オフ会で初対面だったまさ氏(福井県陽明中学校顧問)の学校に連れて
行ってもらったのが一昨年の11月。中学校バンドの吹奏楽を指導させて
もらった初体験であった。以来、いろんな学校で中学生の子供達から
教えられたことの、何と多いことだろうか・・・。
今では私は、生徒に「正しいのはこれだから、こういう風にしなさい」と
言うよりも、「こうした方が良い音がするよ」「こうした方が音楽がおもしろく
なるよ」という風に、生徒の気持ちの向く方向を変えて行くスタンスで
接するのが一番良いと決めている。結局子供達(=奏者)は、
「自分(達)が心の底からそうしたい!」と思う通りにしか動かないし、逆に
そうしたいと思う強いきっかけさえあれば、どんどんその方向に動いていく
ものである。
(少数の生徒が「気持ちの方向を変えて行きたい」と思っても、全体の方向が
変わっていかなければなかなかうまくいかない。そういう意味で強いきっかけ
と書いたのだが、どこのクラブでも多かれ少なかれ抱えている問題であろうと
思う。)
私は、音楽というのは詰まるところ自己の気持ちの表現、特に自分の
自由に関する考え方の表現と強く結びついているものだと思っている。
吹奏楽活動に自由を感じることができれば、ひたむきに頑張るし、逆に
自分から自由を奪うもの、束縛するものというイメージができてしまえば、
吹奏楽活動に気の乗らない日々が続くばかりである。ただしこのことは、
音楽とは自分(達)の自由の表現であると考えるならば、ごく自然な
成り行きではないのかな?、と思うのである。
(私は教員ではないから、そう素直に思えるのかもしれないが。)
吹奏楽指導者の端くれとしては、あまり認めたくないことだが、今までで
一番生徒が変わったのは私からの万百の指導ではなく、より積極的に
活動している学校のバンドと合同練習することであった。・・・(^o^;
生徒の言い分はこうである。
「自分達と同じ中学生があんな風にカッコよく演奏している。ならば
自分達もあんな風になりたいし、いつかきっとなれるはずだ!」と。
これを私は、
「音楽の演奏を通じて自由になれる、なりたい自分になれると思うように
なったからだ」と解釈することにしている。
************************************************************
後日、吹奏楽指導の先輩であるまさ氏より、説得力あるコメントを頂戴しました!。
”音楽と「自由」の関係”読みました。賛同します!!
「やりたいことをやっている」ときが一番生徒が輝くときです。
しかし、それは「勝手気まま」の世界ではありません。
そこに秩序を与え、進むべき道を示すのが指導者の仕事だと思っています。
でも、それを「束縛」と思われるようなら、生徒の成長はストップします。
なかなか難しい仕事です。
それだけにやりがいもあります。