◎ 極端はいけない ◎
 

先日の吹奏楽指導者認定試験の後、運良く審査員の先生に私がしていた

指揮についての感想をうかがう事ができた。本来ならば認定試験に先立つ

3日間のゼミナールで、こういった指摘を受けてから試験に臨みたいところ

であったが、仕事の都合でゼミナールに参加できなかった私にとっては、

極めてありがたいことだった。
 

『指揮』科目の課題曲は『フィエスタ!』。

イギリスの人気作曲家フィリップ・スパークの、3年ほど前に出版された

曲である。速いテンポに変拍子が数多く織り込まれ、スパークお得意の

"Vivace"な音楽が展開されている。

この曲で指揮の試験に臨む上で私が考えていたのは、次のような事である。
 

1.テンポの速い曲なので、曲の構成(形式)をはっきりさせて、

楽譜から落ちないようにすること。・・・(^_^;
 

2.楽譜を約8小節ずつ読んで早めにページをめくり、変拍子に

対しても余裕を持って対処すること。
 

3.棒の動きは小さくして、アクセントだけきっちりと出し、

奏者が見やすく、また"奏者の邪魔をしないように"する。
 

4.中間部の静かな部分では、音楽がもっちゃりしないように

前に進む事を心がけ、感情豊かに歌う指揮は肝心な部分に

とっておくこと。

・・・などなど。早い話が「安全運転」し過すぎたということか。・・・(^o^;
 

ご指摘に関してその後少しお話しした内容については、以下のようなもの

だった。(私の主観・解釈が大分入ってます。(それも問題か?)
 

○ひじがかたく感じた。ビートが感じられず、なぞるような指揮に見えた。

裏拍があまり感じられなかった。
 

◎バンドの邪魔をしないことばかり考えるのはどうか。指揮者はしっかりと

バンドをリードする部分が無いと、存在感・存在意義が無くなる。
 

○「なぜ変拍子なのか?」「なぜ"In Two"なのか?(※)」その答えが

指揮になる。その辺の指揮表現がまだ平面的。

(※)  In Two : 4分の4拍子だが、2つ振りするようにわざわざ指示されている部分のこと。
 

○落ち着いて指揮ができている点については良かった。・・・(^o^;;;
 

・・・◎の部分については、最近の私の書いていることをお読みの方ならば

お気付きかと思うが、最近の私が少しこだわっている部分に関係している。

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その曲の練習がかなり進んでいるとか、バンドの能力に比して技術的に易しい

曲 であるならば、要所要所でアインザッツやキューを出す以外は殆ど振らなくて、 

「さぁどうぞ、思う通りに演奏して下さい!」というポーズをとっている方が、

下手に1拍1拍振るよりもはるかに音楽がよく流れる場合が「意外に」多いもので

ある。 こういった場合には発想を逆にして、「振らなくて済むならば、振らない

方がいい」 という所に考え方の原点を持ってくるのである。

(「音楽と演奏について」45.指揮法の原点と指揮の作用面、より)

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そういえば試験の間でも、しっかりと出て来て欲しい音が、少し気後れして

出てきたような気がした部分がいくつかあった。『指揮』科目は『合奏』科目とは

違って1回こっきり止めずに通すだけだから、まぁ難しいともいえるのだが・・・。

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 『奏者を引っ張って行くこと』『奏者に委ねること』、双方が指揮のテクニックである。 

(「音楽と演奏について」16.99年12月JBAゼミナール受講記(指揮法の巻)より)

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私の書いていること考えてきたことは、全く間違っているとは思わない。だが、

読者のみなさんにも、そして私自身にも、私の書いていることは『試論』であり、

『スタートライン』であるということを、今一度しつこくも確認しておきたいと思う。
 

今年最後に得た、貴重な教訓である。

「イメージは必要。だが先入観はいけない。」

「信念は必要。だが極端はいけない。」

[01/12/31]


・・・本年も多数のご声援を、ありがとうございました。来年もどうぞよろしく、よいお年をー!。(^o^)ノ