◎コンピュータ・ミュージック◎
MIDI音楽というものが出始めた時、(多くの人がそうだったと思うが)”機械が演奏
する音楽なんて...”という負のイメージが強く、否定的であった。専ら関心があったのは
楽譜作成機能の方で、楽譜の見易さ、移調のし易さに魅かれてパソコンとソフトを
購入したが、やってみると思っていたよりずっと難しく、またお金と時間がかかる割には
レイアウトなどがイマイチだなぁ、と思った方も多かったのではないだろうか?
最も、私が"Windows"ベースで、最小限の投資だったことも原因ではあるだろうが...。
(最近はみちがえるように良くなった。)
1995年夏に購入した初代のパソコンを買い替えたのは、1998年の夏であった。
"とりあえずMIDIファイルを楽譜作成に利用してみたい"という極めて都合の良い
動機で、私は色々なサイトからMIDIファイルをダウンロードしまくっていた。
ある時私は、フォーレの"パヴァーヌ"をという曲をMIDI再生してみたのだが、
その結果は私にとっては、大変意外なものだった。「ややややや??」
この曲は、大変叙情的で深い悲しみを湛えた曲であるのだが、このパソコンによる
演奏には、"表情があった"のである。(性格には"表情を感じた"と言うべきであろう。)
それまで私には、音楽とは表情を”つけて”演奏するものだ、という意識があった。
"指揮者は表情豊かに指揮をするべきだ"という意見もあれば、"指揮者も演奏者も
淡々と演奏し、最後に聴衆が熱狂するというのが良いのだ"という意見などもあって、
私達はその都度、思い悩む。
しかしながら音楽とは、楽譜にしたがって-自然に、正確に、素直に-演奏すれば、
自ずと浮かびあがってくる”表情を持っている”とも、思うのである。
[99/09/01]