◎指揮・指導のコツ~その2:対話が大事~◎
 

前回の話の続き。

「指揮・指導のコツ」はパート練習の話だったが、パート練習指導というのは演奏をしている

人の多くが経験することであり、なおかつそれは指揮者の仕事と密接に関連するという点で

大変興味深い。

指揮者というものは、とかく”特別視”されがちなものだが、パート・セクション指導に当たる

人にも指揮者とほぼ同じ質の仕事・技能が要求されるということは、もっと認識されても良い

のではないだろうか?。
 

バンド・オーケストラがより大きくなっていくと、指揮者が直接個々の奏者に注文を出すばかり

でなく、指揮者がパートリーダー(首席奏者)に注文を付け、パートリーダーから個々の奏者に

注文を付けるという手法も取っていかないと、”指揮者という個人”への負担や依存度は増す

ばかりとなってしまう。

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(前回の話から)

”1つは、『自分が知っている知識・練習法そのまま教示する』方法、 

もう1つは、『問題点を抽出・認知して、その解決策を探る』方法である。” 

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私は6~7回ほど指揮者講習会を受講・聴講させていただいているが、そこで

よく見る風景、よく指摘される風景が例として面白いと思うので取り上げてみたい。

それはまず最初に指揮台に上がるなり、長話から入ってしまう人が少なくない

のである。かくいう私も、そうなりがちな傾向があったけれども・・・(^_^;
 

この傾向の原因について、いくつか考えてみよう。

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1.『指揮者の仕事は指揮台に上がる前に終わる』

つまり事前によく勉強し、スコア研究と演奏解釈の確立が出来ているのは良いが、それを

”全部”バンドに説明しようとすると・・・、こうなる。
 

2.『見知らぬバンドを1回のリハーサルで変えなければならない』

それもわずか数十分(!)という条件で「自分の演奏解釈とかアイディアとかいったものを

100%伝えなければならない、伝えたい」と思うと、こうなる。
 

3.『自分の前の受講者とのリハーサルの演奏を聞いている』

前の指揮者が指摘したことを引き合いに出し、「私もそこはやはり、、、」とか、「私は前の

人とは違って、、、」と続けてみたり、前の人が指摘しなかった問題点を突然指摘し出す・・・。

これは、-理由はうまく説明できないが-バンドが非常に嫌がることである。
 

4.『「指揮者」というものに、世間的なイメージから入り過ぎてしまっている』

一般に流布する『指揮者』という言葉の世間的なイメージは、20世紀前半の大指揮者時代から

あまり変わっていないものと思われる。えてして『指揮者から奏者に対しての一方的な行為』の

面でしか見ていないものであるが、経験の浅い指揮者は、自分の理想とする音楽に対して、

ついつい雄弁になり過ぎてしまうのである。

こういう指揮者が一概に悪いとは言えないとして、指揮者の演説時間の分、

「実際に指揮をしている時間」=「奏者が演奏している時間」が少なくなる。

したがって『指揮者』としての評価は、『未知数』(=ペケ)となるのだ。

指揮者のイメージを語る時間は大切だが、音として音楽として、奏者に表出してもらう時間との

バランスもまた、大切なのである。

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『指揮者』を、『パートリーダー』『先輩』と読み替えても良いだろう。

私とて未だ欠点・短所多く、1~4に該当することも実際はたぶん、よくあるのだろう。(^_^;
 

ただこれらの例から強く感じるのは、「演奏(=奏者)との対話が大事だろう」ということである。
 

[01/03/26]

 
 

[追伸]

・・・私は人に何かを教えるなんて出来るとは思っていないが、人の考えや体験談を読むことに

よって自分の考え方が鮮明になる、読む人にとって鏡になる、そんな風に役立てば十分なの

ではないかと思っている。
 

指揮法とか指導法は難しいから、みんな我流で頑張っている。だから、自分のやっていることを

系統立てて考えたり自己評価する基準も、自分で作り上げて行かなければならない。
 

それはある意味、『究極の勉強』であると言えるだろう。