◎『世界ヘボ指揮者協会』設立◎
2001年×月、『世界ヘボ指揮者協会』が発足することがこの程発表された。
「指揮者はヘボが一番」、「たまに来る名指揮者よりいつものヘボ指揮者」を
スローガンに、ヘボ指揮者の底上げと地位の向上を図ることを目的としている。
初代会長には、世界的迷指揮者ガリュー・ノベルティーニ氏が名乗りを上げて
いる。
世の反発を食うことは必至と見られているが、そうまでして彼(ら)を立ち上がら
せたものは、一体何なのであろうか?。
設立にあたっては、歴史的名指揮者である故ウィルヘルム・フルトヴェングラー
氏のメモから勝手に捏造した『世界ヘボ指揮者宣言』が採択されている。
原文と照らし合わせ、ご覧いただきたい。
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『世界ヘボ指揮者宣言』
1.話は相手の顔を見ず、
(相手の顔を見て話すこと!)
2.急いで早口で、
(落ち着いて話すこと!)
3.思いつくまま長々と、
(なにごともできるだけ簡潔に語ること!)
4.無理ならすぐに撤回し、
(要求の全てを完全に貫くこと!)
5.絶えずあちこち見回して、
(絶えず、まっすぐな澄みきったまなざし。)
6.笑顔とダジャレで余裕見せ、
(できるだけ笑わないように。)
7.強い奏者に媚びへつらい、 (個人的なことで譲歩しないこと。)
8.弱い奏者に八つ当たり、
(腹を立てることは禁物。)
9.その場しのいで、定時に帰宅。  
(たえず積極的に。)
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協会では目下、協会員を募集している。身に覚えのある指揮者こそ多けれ、
自らヘボを自称し、進んで協会に加名する指揮者が果たして出てくるものか
どうかは、大いに疑問視されているところである。
しかし協会では、既に年内に『第1回世界ヘボ指揮者コンクール』を開くことまで
決定されており、既に以下の曲が課題曲候補として検討されている。
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○とまりかけポルカ
○ワルツ『タコ踊り』
○歌劇『空威張り指揮官』序曲
○変奏曲『振り方がエニグマ』
○吹奏楽のための『・・・そしてどこにも奏者の姿はない』
○テンプルブロックと管弦楽のための協奏曲『袋叩き』
Ⅰ.イントラーダ
Ⅱ.モルト・マエストーソ
Ⅲ.アレグロ・テンペストーソ
Ⅳ.アレグロ・バルバロ
○指揮者のための無伴奏交響曲『残酷な41分55秒』
Ⅰ.プレスト
Ⅱ.モルト・プレスト
Ⅲ.プレスト
Ⅳ.プレスティッシモ、ストリンジェンド~フィナーレ
(未だ最後まで生きて振り切った指揮者のいない難曲)
○行進曲『ヘボ指揮者よ永遠なれ』
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協会では現在、出演交渉が決裂した名門”ロ○○ル・コンセルト・ヘボ管弦楽団”に
替わるホスト・オーケストラを探している。決裂の理由は明らかにされていないが、
協会側が交渉の際、同団への依頼理由を馬鹿正直に話したために、楽団側の不興を
買ったのが原因であろうというのが大筋の見方である。
最後に現在、協会が企画・開発を検討している『次世代型指揮棒』を御紹介する。
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「嫌いな奏者を一撃!」ミサイル型指揮棒(低騒音型・メゾフォルテ以上で使用可。)
「最小の動きで最大の効果を!」伸縮型指揮棒(10センチピッチ10モードワンタッチ可動)
「あなたはだんだん眠くなる!」先端振子付指揮棒(・・・用途検討中。)
「ちゃんと棒を見なくちゃダメです!」レーザー警告指揮棒(譜面貫通可。)
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協会では新会員並びに新しい課題曲や新型指揮棒、その他のアイディアを
随時募集しているとのことである。
※出典:「フルトヴェングラーのメモ」
1.『音楽ノート』(ブロックハウス編、芦津丈夫訳、白水社)
2.『名指揮者があなたに伝えたいこと 100のリーダーシップ』(千蔵八郎編著、春秋社)
[01/02/13]