◎指揮法について今考えていること(その1)◎
以下は長い間書こうとしているが、思うように消化できずまとめきれないこと。
シリーズで解明していきたいと思い、今回は軽く問題提起。
1.指揮表現と点前と点後のバランス
たとえばritardandoの表現の時、指揮者はどういう意識を持って指揮するだろうか。
私は自分の指揮のクセを分析しているうちに、『点後』の引き伸ばしによってでは
なく、『点前』の引き伸ばしによってritardandoしようとしていたのではないか?
ということを考えるようになった。
どういうことなのかはっきりさせるため、次のように(仮)定義してみる。
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○・・・点前運動→点→点後運動→(ト)→点前運動→点→点後運動・・・
○点前運動は『音の"出だし部分"のタイミング』を主に示す。
指揮の"規定する"面(非連続的)。
「点前の引き伸ばしによって」→一つ一つの音の出だしを遅らせていく。
○点後運動は『音の"響き部分"の流れ・ニュアンス等』を主に示す。
指揮の"開放する"面(連続的)。
「点後の引き伸ばしによって」→一つ一つの音の響きを長くしていく。
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基本的にはどちらを無視しても成立せず、場面や目的に応じた配分が大切である。
「点後の引き伸ばし」は、ritardandoばかりでなくmeno
mossoにおいても有効、
逆に点後を短く縮めていくことで、accelerandoやpiu
mossoを作ることができる。
点前運動によってテンポを規定していくこと傾向が強い人は、演奏が指揮に合わないと
ますます点前運動の比率が増し、見ていて「アップアップ」型、タイミングを合わせに行く
指揮になってしまうので要注意であると思う。(・・・自分のことね。(^_^;)
2.さりげない指揮
京都市立音楽高校のワークショップ(指揮者講習会)の時に、藏野雅彦先生より
「指揮には『見てもらう部分』と『感じてもらう部分』があると思います」とのアドバイスを
受けた。私の指揮が終始押し出す傾向にあって、奏者が気持ち良く歌いたい場面では
かえって邪魔になっていることがある、ということだった。
"さりげない指揮"、"流れを表す指揮"にふさわしい技術として『平均運動』を勧められた。
『平均運動』というのはそれまで私の中でうまく理解できていなかった表現技術であり、
先生のアドバイスを表現のイメージにするのに何ヶ月もかかっているのだが、最近ようやく
自分なりのイメージが掴めてきたように思う。
斉田好男さん著の、『はじめての指揮法』を参照していただきたい。
平均運動の動きの作り方については、この書の「一筆書きのように」という記述が私には
随分役立った。"横に幅広く流れる、大きく歌う"場面の指揮は、「一筆書き」の指揮が
大変しっくりいく。この"滑らか・大らか・細やか"な指揮法を、是非メトロノームで練習して
いただきたい。図形は、(過度に見づらく、またとりとめなくならないよう気を使いつつも)
自分の気持ちに沿って自由にとってみる。時々音の出や輪郭を整えたい時に『しゃくい』や
『叩き』など規制する動きを微妙に織り交ぜてみる。
[00/03/11]