◎”奏者”、奏者の望む”指揮者”◎
ある指揮者の方に聞いたエピソード。
自分の客演したある楽団が、自分のことをどう思って(評価して)いたかについて
このように語っていた。
1.自分を良い指揮者だと思っている楽員・・・約3分の1
2.自分をあまり良くない指揮者だと思っている楽員・・・約3分の1
3.指揮者が誰であろうと関係ないと思っている楽員・・・約3分の1
そしてこれは、指揮者の評価としては”良い方”の部類に入るそうである…。
この話を初めて聞いたアマチュア指揮者、どう思うだろうか?
1.朗報だと思う人・・・約3分の1
2.悲報だと思う人・・・約3分の1
3.「そんなもんだ。」と思う人・・・約3分の1
そしてこれは、私の勝手な憶測でした。(^_^;
「指揮者とは何か?」これは比較的よく聞く問いではないだろうか。
「奏者とは何か?」こういう問いはあまり聞かないように思う。
指揮ということを長くやっていると、時々こういうことを考える。
「指揮者とは何か?」実はこのことを普段一番よく考えているのは、
当の指揮者本人ではないだろうか。
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『奏者とは何か?』
一人で練習したり演奏したりするのと、”合奏”に加わって演奏するのは随分違う。
もう忘れてしまったかもしれないが、”合奏に加わって演奏すること”には誰しも
多かれ少なかれ苦労したのではないだろうか。
…いや、今も苦労しているかも。
やがて無意識の内に”奏者性”といったものを身につけてゆく。
それは”多重性”の統合、あるいは”社会性”といったものだと私は考える。
一つは”個人”の側面。
同じ楽団に所属する人間であっても、一人一人の考えや好みはずいぶんと違う。
経験してきたこと。人から聞いたこと。
教え込まれたこと。自ら学び掴んだこと。
肯定(受容)してきたこと。否定(拒絶)してきたこと。
個性、信条、奏法、習慣、音楽観、人生観・・・。
良く聴く音楽のジャンル。好きな作曲家。尊敬する演奏家。好きな人…
一つは”~奏者”としての側面。
息(空気)で吹くのか、弓でこするのか、バチで叩くのか、指ではじくのか。
(楽器本体が)小さいのか、大きいのか。軽いのか、重いのか。
(音が)高いのか、低いのか。大きいのか、小さいのか。
音楽のどんな部分を受け持つことが多いのか。
息つく暇もないほど弾き続けているのか、気が遠くなるほど休みを数えているのか。
一つは”楽団の成員”としての側面。
楽団の方針に従う。カラーを揃える。
主役になるか。伴奏に徹するか。
「自分一人で」か、「複数名で」か。
個性を主張するか。協調を優先するか。
個人と社会。自分と自分達。
どこからどこまでを”自分達”と考えるか。
コンサートは年に1~2回なのか、100回以上なのか。
…その他いろいろな側面。
奏者の望む指揮者とは何か?
「自分達の力を最大限に発揮させてくれること」がキーポイントではないかと
いうのが、今の私の結論だ。
相手を知ること…。
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以上は私が考えたこと。これを機にあなたも一度考えてみてはいかが?
「指揮者って何?」
「奏者って何?」
「奏者にとって良い指揮者って何?」
「・・・って何?」
あなたが将来指揮をするようになった時に、必ず役に立つと思うから。
[00/02/01]