◎指揮に興味を持った頃の話◎
 

私が指揮に興味を持ったのは、小学校5年生くらいの時だったと思う。
 

当時私は、東京の杉並区立第一小学校に通っていた。音楽の先生は"太田先生"と

いう男の先生だった。この学校には、当時"器楽クラブ"という名の吹奏楽クラブが

あり、コンクールなどで活躍していたようである。(詳しく調べたことが無い!)

太田先生はこのクラブの指導者で、授業中にはフレンチ・ホルンを吹いてくれた

ことがあった。

私は音楽の授業は好きだったが、このクラブに入ると遅くまで(といってもPM4:00)

学校での練習があったので入らなかった。毎日のように空き地で野球三昧に

暮れていたのだが、それはそれで良かったのだと思う。
 

太田先生はある日、授業中に次のような意味の事を言った。

「一流の指揮者は、上半身だけで指揮を振るのです。」

私はなぜか、この事を音楽の教科書の裏に、鉛筆で書き記したのであった。
 

6年生の時にクラス対抗のコーラス大会のようなものがあり、私は立候補して

指揮者になった。だが記憶に残っているのは、どうやって練習を進めて良い

のやらわからなくなって、担任の白間先生にハッパを掛けられてことだけだ。

父の仕事の都合で大阪に転校になったのは、本番を迎える前だったのだろう。
 

当時は、テレビでオーケストラ演奏を見ることなどまれだったが、たまにぼんやりと

見ていた時に、指揮と演奏が"ずれている"のが気になったことがあった。

指揮者が振ったほんの少し後から、音が出てくるのである。

その時は"一流の指揮者とはこのようなものか"と思い、

「指揮というのは難しいんだなぁ。」と、思ったものである。
 

[99/08/08]