◎時間はある◎
 

先日、ラジオのインタビューで、こんな話を聞いた。
 

ゲストは元商社マンで、現在大学の財務管理学の講師をされており、シャーロック・

ホームズに関する研究文献を出版された方なのだそうだ。仕事中の車の中で聞いていた

ので、お名前などは聞き逃した。「シャーロック・ホームズ」は御存じの通り、コナン・ドイル

の書いた推理小説の中の主人公として有名である。実在しない人物であるにもかか

わらず、『シャーロック・ホームズ協会』なるものが存在し、世界中に10万人くらいの

シャーロック・ホームズファンがいるとの推計もあるそうだ。日本では700~800人

くらいだと言っていたが、会員の数なのか推定数なのかはよくわからない。

架空の人物であるホームズの人気に比べると、著者であるドイルの研究の方がはるか

に遅れているそうで、その方も今後はドイル研究にも力を入れるとのことだった。

そういえば、ホームズの相棒の「ワトソン君(博士)」も有名だったっけ。

アルセーヌ・ルパンの産みの親は、モーリス・ルブラン。

怪人二十面相と明智小五郎・小林少年の飽くなき戦いを描いたのは、江戸川乱歩。

この3つの物語は、少年向けの同じ型の本のシリーズで愛読した。現代の少年少女

にも語り継いでいってもらいたい名作(?)だと、私は思う。
 

ここからが本題。
 

その方は商社マン時代に、主に週末を利用して少しずつ研究を積み重ねていったらしいの

だが、商社の仕事というのは出張も多いし、過酷なほどに忙しいことが多いようだ。最初に

この本を出版した時、会社の人達は随分びっくりしたらしく、最も多かった質問の一つは、

「本なんか、いつ書いているのだ」というものだったそうだ。「週末です」と答えると、「私にも

週末はあるが、そんな暇はないよ」と返されることが多いという。

その方と、インタビュアーとのやりとりをまとめてみると…
 

1.雑事は、平日の空き時間にできるだけ済ます。

   時間がある時か、休みの日にしよう」と思っていると、些細な事でもたまる一方、果て

   は先送りになってしまう。人間は時間があると思うと、すぐにはしなくなり、忙しい合間に

   何かを片付けようとすると、短時間に密度の濃い作業・勉強ができる。

  (ことわざに、『足りるものは足らぬ。足らぬものは余る。』というものがあった。

   もちろんその人の、意思の強さのにも拠るのだけれど...)
 

2.会社に行く時は、家から会社に移動するのに片道1,5時間、往復3時間かかる。

   この間何もしていないとすれば、週末には、会社に行かない分だけ、1日に3時間の

   まとまった時間ができる。会社の休日を合わせれば、年間約300~400時間くらい

   の、全く自分のものになる時間があるという。

   「ああ、耳が痛い、いたい。」(笑)

   [年間休日日数]×[1日の通勤・通学時間]=[自由に使えるまとまった時間]

  (通勤・通学時間が殆どかからない人は、平日に2時間くらい時間が余分にあると

   考えてみてはいかが?)
 

私は今、できるだけ毎日、単純な棒振りの練習(3分とか10分とかばらばら)をし、通勤

電車の中で、10~40分くらい、楽譜やシェーンベルクの本(”作曲の基礎技法”)などと

にらめっこしている。しんどい時や、気がのらない時はしない日もあるけれど、首尾よく

スタートすれば、はまっていく。それが”せずにはいられない習慣”になっていけば、思う

つぼである。サラリーマンは生活時間の変化に乏しい分、こういった継続的なトレーニング

を計画しやすいと思う。『これをあと5年、10年続ければ、すごいことになるぞ!』と、自分に

希望という名のこやしを適当に与える。
 

5分のことを12日連続でやる方が、1日だけ1時間するよりも効果のあることって、沢山

あるよね。腹筋運動とか。

書いたからにはやらなくちゃ、お腹が...ずんずん...(笑)
 

また、「文章を書く上で、どんなことを気を配っていますか?」という質問に対しては、

「読んだ後に、良い読後感が残るように気をつけています」ということを言われていた。

『読後感』という言葉が非常に気に入った。どんなに素晴らしい、詳しい、正しいことが

書いてあると思っても、後味が悪ければ、また読みたいなどとは思わない。私も、読んで

くれた人にステキな読後感を味わってもらえるような文章が、書けるようになりたいと思う。
 

[99/11/06]