◎"うまい"、"へた"という言葉について◎
演奏についての感想を言う時の言葉はいろいろあるが、私は"うまい"とか
"へた"という言葉については、ある時から、あまり使わなくなった。
「確かに"うまい"けど、また聴きに来たいとは思わないなぁ」という感想を
持つことが多くなってきた頃からである。
"うまい"という言葉には、技術的に高いとか 「××よりもうまい」という
"比較"のニュアンスが含まれているように思う。 一つの演奏に対して
"うまい"という人と"へただ"という人が出てきてもおかしくはない。
だから、自分(達)の演奏に対して、「うまい」とか「あまりうまくない」
(演奏者に"へただ"と言う人はあまりいないようだ)とか言われたところで、
あまり参考にはならない。またこの"うまい""へただ"という言い回し、
日本人特有のものではないか、という気がする。
"個人の好みに善悪を論ずるとは何事か"と、お怒りになる向きもあるかも
しれないが、 同時に個人の好みというのは、えてして他人の言うことに
まどわされやすいもの。
こと実演や演奏者の評価・評判というものは、見ず知らずの人が言った言葉を
無意識のうちに鵜呑みにしてしまってるなんてこと、実は私も良くある。
ただし演奏に対する純粋な感激を、「うまい」という言葉で表わす方も
いらっしゃいますから、一概には言えませんけど。
[99/08/01]