◎ 「苦手意識」の効用 


「苦手意識」というのは、どちらかといえば演奏にマイナスに作用するもの、

と考えているのではないだろうか?。演奏上の難所を、「ここの部分は苦手

なんだ」と思ってしまうと、意識しすぎてしまったり緊張してしまったりして、

幾度も間違いを繰り返してしまう。むしろ苦手意識なんかは考えないように

して無心で、あるいは楽しんで演奏に臨むということも、時には大切なのかも

しれないし、私自身そう思ってきた。


しかしある本番後、今までにも述べてきたが、休符から始まるフレーズや

8分の6拍子の楽章で練習の成果を発揮できなかったことから、

「もっと苦手意識を持って本番に臨んでいたら、うまくいったかもなぁ」という

風に考えた。


「うちのバンドはこのリズムがいつもうまくいかない」とか、「自分が指揮して

いて、いつもしっくりこない」という苦手パターンというものは、どんな指導者

でも持っているものではないだろうか?。練習中ならば曲をとめて指摘して

直すこともできるけれど、何度も何度も練習で同じようなことを繰り返すうちに、

本番の感覚というものを忘れ、本番に対する心の準備が薄くなってしまわ

ないよう、注意したいものである。


いつもうまくいかないリズム、といったものには、指揮者も奏者もしっかりと

苦手意識を持つ。体で覚えるために毎日の練習にリズム練習を取り入れる。

毎回の合奏練習前に、そのリズムを使ったスケールやハーモニーの練習を

一度は必ずやる。本番の際には「苦手意識を利用(逆用)」してうまく乗り切る。

そういったことをこれから試みていきたいと思う。

[07/01/08]