◎ 表現力と伝達力 ◎
全国大会の演奏を聴いていると、演奏解釈や演奏表現は一つずつ、みな違うもの
だなぁとつくづく思う。それぞれの学校の伝統的なカラーや部活の雰囲気、指導者
のカラーなどが演奏の中から浮かび上がってくる。
「金賞の取り方は100校あれば100通りある」と、私は思っている。
しかし、どの学校にも共通するものがある。それは「伝達力」だ。表現の仕方は
100通りあれど、それを大ホールで聴衆に十分に伝えることのできる伝達力を
持っていなければ、聴衆の心まで届かない。それが「コンクール」という多くの
演奏団体を比べられる状況の中では、100倍「シビア」に聞かれてしまう。
いわゆる「指揮者」としての仕事だけならば、「表現力」だけでも良いかもしれない。
しかし、スクールバンドやアマチュアバンドでコンサートを開く、あるいはコンクール
に出場するとなると、「表現力」が「伝達力」という土台の大きさ・確かさに左右
されてしまう事実を無視できない。
「表現力」だけで良いならば、他の団体の演奏を買い漁って聴き比べたり
真似をしたりというのは、レベルの低い行為なのかもしれない。
しかし「伝達力」に手を入れようとする者には、コンクールの音源というのは、
あたかも「宝の山」のように見える。
[07/01/07]
#これを書いてから3年前に書いた「今年コンクールから学んだこと」を読んだら
ほぼ同じ内容になった。どうやら私がこの3年間、この事を強く意識して吹奏楽指導
してきたことの現われのようである。