◎1時間目:管楽器の音作りの基本(アタック編)◎
 
 


 

1.アタック(発音)

音の始まり。音の立ち上がり。音色・リズムを決定する、一番大切な要素である。

はっきりとしたクリアーな立ち上がりが基本。体全体を使って音を生み出す意識と、

多大なエネルギーを要する事を自覚しておくべきである。
 

スラー(レガートなフレーズ)では、開始の音のアタックもやわらかく演奏してしまう

ことが多いが、フレーズ感やリズム・アクセントをはっきり出すためには、はっきりと

アタックすることを基本とすべきであると考える。
 

(1)アタックの前の予備運動について

音を出そうとしてから音が出るまでに、口の周囲や舌の筋肉を緊張させていく動き

とか肺からのブレス(呼気)の圧力を高めて行く動きなどのための時間が必要であり、

これらの予備運動が充実していないと、アタックは音色・ピッチ共に、不安定かつ

不明瞭なものになってしまいがちである。
 

図A:アタックの予備運動が無いとき

予備運動が十分でないと、この図の音形のように、音の頭の立ち上がりが鈍く、

探り吹きのようになってしまっているケースが大変多いので、よーく聞いてチェック

して欲しい。

このような吹き方では、チューニングの時にも音の出だしのピッチが低かったり

高かったりして不安定になり、ピッチのずれを見極めることを難しくしてしまう。
 

図B:アタックの予備運動が有るとき

この図のようにアタックに向かって吹く意識を持って演奏してみよう。

音の頭からクリアな音色と安定したピッチを得ることができ、更にアタックの

音色やタイミングを微妙にコントロールすることも可能になる。
 

(2)明瞭なアタックのための発音練習方法

通常、アタックの発音はTuとかTooなどと説明するが、こういったアタックの

癖を確認・修正する時には、StoneとかStood等の知っている英単語の発音を

意識してみることを勧める。
 

Sという子音が語勢を強め、アタックのスピード感を確認するのに有効である。
 

(3)アタックが音色を殆ど決定する

慣れれば音を聞くだけで何の楽器の音かわかるようになるが、楽器の音を

録音してアタックの部分を削ると、途端に何の楽器の音かわからなくなって

しまうという話を聞いた事がある。
 
 

[01/09/25]