◎第十話「最終回」◎
※コンクールまで日記的にどんどん書くと言っていた『銅賞物語』ですが、
本番の後の「ひとり反省会」が長引き、すっかり日が経ってしまいました。
どうもスミマセン・・・m(_ _)m。
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平成12年8月7日月曜日コンクール当日、学校には朝7:00に集合。
8:30までの間ウォームアップ、チューニング、曲全体を区切りながら2~3度通す。
連続3日目の合奏のせいか、まとまりも早い。うん、いい響き・・・。
これを本番でも、やってくれればいい。
少し時間が余るが、満足いく響きを聴いて合奏終了。
私は至って楽天的・・・。
楽器をトラックに積んで、生徒はホールまで電車で移動。
私は悩んだ末に車で移動するが、道路はホールに近づくにつれて予想以上の渋滞。
・・・しまった、全く動かない!。部長の携帯に「何とか間に合うだろう」と気休めばかり
の連絡をして、チューニングルーム入りの約10分前に”命からがら”ホールに着いた。
幸い楽器運搬のトラックは私と別ルートで、もう少し早く着いていたようだった。
スコア・タクト・着替えを持って猛然とダッシュ、トイレに駆け込んで着替えする。
着替えも慌てると余計に遅くなるからと、ゆっくり考えて着替えているつもりだったが、
ポケットからは小銭がジャーラジャラー・・・。
チューニングルームでは11:00~11:30まで30分も音出しをさせてくれると
聞いて喜ぶが、途中で打楽器を先に移動するよう指示があったり、進行が早かった
ようで11:20に音出しは終了と告げられたりしてバタバタと慌ただしい雰囲気。
やはり本番前は後手後手にまわりたく無いものである。
こういうこともあらかじめ予想して行動しなくちゃ・・・。
一つ前の団体の演奏中に、舞台袖へ移動して待機。進行の方に2つの事を確認。
一つは、指揮者は奏者と一緒に出て行ってステージで待機するということ。
私は袖から指揮台までの歩き方が下手な人で、昔は袖の暗がりでよく歩行練習
したものだ。もう一つは、殆どの人が指揮台の下でお辞儀をするということ。
私はコンサートの時、いつも指揮台の上でお辞儀するので・・・。
前の団体の演奏が終わり、いよいよステージへ。やはり奏者のイスは、前後左右の
間隔が普段の練習よりかなり広い。事前に生徒には言っていたのだけれど・・・。
演奏がスタート。響くというか、少し大きめのお風呂場で演奏しているような感じ。
はっきり・くっきり演奏しないと、水中でしゃべっているみたいに何をやっているか
わからない。だが、のちに客席で聴いた時には、どの団体もそんなにひどくは聞こえ
なかった。吹いている方はどんな気分なのだろう?。
ちゃんと覚えておいてもらって、来年の1年生にしっかりと伝えてもらわなくっちゃ!。
練習が始まった当初、私は曲の開始を余拍1つ(振り上げ)でとろうと決めていたの
だが、練習を重ねるうちに、次第に2つ(棒先を少し下げてから振り上げ)でとるよう
になっていった。本番は余白1つで振ったのだが、その辺のことが十分意識できて
いなかったので、練習の時とは違う振り方をした自分に少し動揺してしまった。
生徒はあまり気付かなかったらしいのだが。
指揮というのは絶対的に決まったやり方はなく「自由」だが、ある意味不自由である。
我が恥をごまかすわけではないが、本番中に指揮者がいつもと違う振り方をして
奏者が面食らったなどという話はザラにある。
それもたいていは、指揮者が良かれと思ってやっているのだから、やれやれ・・・。
会場は、審査員を入れても2割くらいしかお客さんが入っていなかった。観客も小編成
なのであった。ただそれを差し引いても、演奏後の反応に手応えは今ひとつ感じられず、
ちょっと気がかりだった。小編成の部は自由曲1曲だから、わずか6分ほどのステージ。
・・・ねぇ、来年はもう1曲やらない?。
着替えの入った手下げ袋とチューニング・オルガンを抱えて外に出る。集合写真まで
少し間があり、OBが一人寄ってきて言ったセリフが、「よそはー、うまかったですよ。」
荷物さえ無ければ絞め殺してやりたいところだったよ、この野郎・・・、!。
うちよりも前に同じ曲を演奏した団体があったらしい。全6団体で曲がかぶれば目立つ
だろう。客席で聴いていた3年生に感想を聞いたら、笑ってごまかされた・・・。
17:00からの審査発表まで、そわそわしながら待っていた。他の部の演奏を聴いて
いてもどうも身が入らない。うろうろしてから、車に戻ってひと眠り。日差しが強くて、
のどがカラカラになった。で、ロング缶のコーラを飲んだら、今度はお腹がちゃぽちゃぽ
になった。
予定より早めに演奏が終了して審査発表。各校の代表者がステージに立ち並ぶ。
プログラムの解説によると『小編成の部』の表彰は「優秀賞」「奨励賞」の2段階表彰
で、それとは別に審査員特別賞である「きらめき賞」が贈られる場合がある、とのこと。
プログラム順に結果が発表される。自分の団体の発表が近づくにつれ緊張が高まる。
そして我が校の審査結果は「奨励賞」。期待という名の時計が止まったかのようだった。
このまま穴を掘って、入っていきたい心境だが、終了後のミーティングで何か話さなく
てはならない。こうなるとは予想もしていなかったので、言葉は浮かんできても文章に
ならぬ・・・。
ホールの外でのミーティング。講評文を読んで、長ったらしくしゃべった。講評内容は
総じて厳しめ。だが指摘事項は、いずれも「危ないな」と思ってくり返し練習していた
ことだった。ダメ出しはできていたが、克服できなかったということだ。
コンクール最後の3年生に挨拶してもらう。最後にプレゼントしてあげたかったなぁ・・・。
でもみんないいこと言ってくれた。さすが、3年生。
でも、コンクールに初めて出た1年生達が大きく落胆していることがすごく気になった。
「この演奏で大丈夫、代表いけるかも!」私はよくそう言っていたが、あるいはそのこと
が生徒達を安心させ過ぎたのかもしれない。私は元来楽天的なキャラクターだから、
練習も明るい雰囲気でやってきたと思う。それだけに、このすさまじいギャップが一層
胸にしみた。
最後はみんな、この先それぞれ頑張って行こうということで、ミーティングは終了した。
夜は地元に帰ってみんなで飯を食いに行った。みんな疲れていたしすごく残念だった
けど、たくさん笑って少し元気になった。生徒は明日、学校で反省会。私は明日から
会社だから、これから「ひとり反省会」・・・。時間かかったー(><)!。
あれこれ書くと”泣き言オンパレード”になるけれど、「見せ場」を作れなかったことが
一番の反省点かなぁ。審査員も本当は良い点をつけたかったけど、つけるところが
なくて、困っていたに違いないのだ・・・!?。(^_^;
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賞はイマイチだったけど日が経つにつれ、幾つものヒントをいただいたと思うようになった。
1.音の形とつなげ方にこだわって、より実践的なスケール練習ができたこと。
2.今までうまく活用できなかった合奏練習でのメトロノームの活用により、早い部分
で「走る」現象が殆ど見られなくなったこと。春の定期演奏会では、走って走ってしょうが
なかったんだ。
3.チューニングオルガンを導入して、基準音に向かって音を合わせることを習慣付け、
ハーモニーの練習の入り口くらいまでたどり着いたこと。来年はフレーズの頭とお尻の
和音くらいは生徒に合わせておいてもらおう!。
自分が講習会やネット上で学んだ知識を色々と試し、経験できたことは大きかったと思う。
母校では、これからの積み重ねに(もちろん技術的にも音楽的にも)協力させていただき
たいと思うし、来年もコンクールに出場し私を呼んでいただけるならば、今年の努力が、
決して無駄ではなかったことを是非とも証明したいと思う。
(ありゃ、コンクールに”はまった”か?、ちっとも懲りちゃいないねぇ・・・(^_^;。)
[00/08/19・完]